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静岡地方裁判所 昭和31年(ワ)177号 判決

静岡県磐田市二之宮一、三七三番地

原告

宗教法人皇治教神祇陰陽道

殖産興業寮

右代表者主管者

木舟直太郎

磐田市見付二、三八五番地の四

被告

磐田税務署長

道正信彦

右指定代理人法務事務官

村松実

大蔵事務官 片桐信

〃 西川幸男

〃 伊藤治郎

〃 鈴木壮二

右当事者間の昭和三一年(ワ)第一七七号登記簿謄本権利確認等請求事件について次のとおり判決する。

主文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告代表者は「昭和三一年四月二八日付静岡地方法務局磐田出張所法務事務官岡田正一認証にかかる登記簿謄本(別紙記載のような書面)は真正に成立したものであること、および被告は昭和三〇年四月一〇日原告に対して暴害したものであることを各確認する。

訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、その請求の原因として次のとおり述べた。

被告は別紙記載の書面(登記簿謄本)は有効でないというし、又被告は昭和三〇年四月一〇日原告に対して、原告は解散なしたりと放言して暴害したから前示書面(謄本)の真正に成立したものであることの確認および被告が暴害なしたことの確認を求めるために本訴に及んだ次第である。

そして立証として甲第一号証(写)を提出した。

被告代理人は本案前の弁論として、主文同旨の判決を求め、その理由として、原告は何ら具体的処分又は権利関係を訴訟の目的としないで単に登記簿謄本の真正に成立したことの確認を求めるもののようであるが、かような訴訟は権利保護の利益を欠くばかりか、行政庁たる被告にはこのような確認訴訟について当事者適格を有しないのであるから本訴は却下せらるべきである。と述べた。

理由

原告は被告に対しいわゆる証書真否確認および暴害行為が存在したことの確認を求めているものであることはその主張自体に徴し明白である。

しかし、民事訴訟の当事者となることのできるものは、行政事件訴訟特例法第三条、その他法令に特別の規定ある場合を除くのほか、自然人、法人、法人でない社団又は財団にして代表者又は管理人の定あるものに限られるから、原告が国の一機関でしかない行政庁(磐田税務署長)たる被告を相手どつた前示確認訴訟は適法な訴訟要件を欠いた不適法なものとして却下を免れない。

よつて訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 三関幸太郎)

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